couldは難しい・・・。
英作文を書いていて、あるいは添削していてそう思ったことはないだろうか。
今回は多くの英語講師がお世話になった謎解きの英文法の助動詞編から、couldについて考え方をまとめてみたい。
久野先生と高見先生の共著本はいろいろと出ているが、どれも目から鱗の素晴らしい本です。言うなれば、学校では習わないところを教えてくれる本である。
まずは、I could fly.はなんて訳したらいいのか。この英文の正体を見ていきたい。
謎解きの英文法には、過去時制を表すcouldとcouldn'tの定義として、「~できる状態にあった」「~できる状態になかった」と過去の状態を表す表現である、と述べている。
いくつか例文を挙げると、
1. I could enjoy the party.
2. I could swim all the way across the pond.
1.はもし過去時制を表してるとすると、「私はパーティを楽しむことができる状態にあった」となるが、実際に楽しんだのかどうか分からないので、1回のみしかできない話では仮定法過去の意味しかない。つまり、一回しかできない行為の場合、
1.「私はパーティを楽しむことができるだろう」の意味だけである。
1.は、I could enjoy the party and I did.なのか
I could enjoy the party but I didn't.なのか、聞き手は分からなくなってしまうのだ。
その一方で、
2.の方は、何回もできる話なので、泳ぐことができる状態にあった、泳ぐ能力があったを表せる。
「私は池を泳いで渡ることができた」の意味もあるし、仮定法過去として「私は池を泳いで渡りきることができるだろう」の2通りの解釈が可能である。
すると冒頭のI could fly.は1回限りの話ではなく、何度でもできる話なので、過去時制を表す場合と仮定法過去の二通に解釈ができることになる。
「私は飛ぶことができた」(飛ぶことができる状態にあった)
「私は飛ぶことができるだろう」
ところで、1回限りの話でも「~できた」を表す動詞がある。
それらは、see, hear, taste, feel, smell, understand, remember, guessなど。
これらの動詞は、catch, swim, enjoy, look, consider, listenとは違って、意図的な知覚や認識を表している動詞とは違う。
I could see the full moon last night. 〇
「私は昨晩、満月が見える状態にあった」
I could hear beautiful music in the restaurant last Sunday. 〇
「私は前の日曜、美しい音楽が聞こえる状態にあった」
このように動作動詞というより、状態を表しているので能力の「~できた」を表すことができる。もし意図的な知覚や認識を表すものなら、
I could catch the bus yesterday. NG
I could run 10km yesterday. NG
これらは間違った文になってしまう。実際に昨日やったのかどうかわからないからである。
つまり、
I could catch the bus yesterday, but actually I didn't.となるのか、
I could catch the bus yesterday, and I did.となるのか、聞き手にはわからないから非文になってしまう。
ちなみにcould'tを使っていれば、適格文である。
I couldn't catch the bus yesterday. 〇
I couldn't run 10km yesterday. 〇
couldn'tなら、「できない状態にあった」と意味がはっきりするからである。
ところで、
Last night, I could see the moon.とLast night, I saw the moon.の違いは何かといえば、前者はいつもは見えないはずなのだが、その時は違って、長めに見ていたニュアンスで、後者はちらっと見た程度に聞こえる。
couldはなんとも奥が深い。