大学入試で有利に働く英検準1級。
早稲田大学では学部によっては準1級を出願要件としていたり、順天堂大学や国際医療福祉大学など、英語に力を入れている医学部では筆記試験で加点されたり二次面接で評価の対象になったりします。
(生徒から実際に準1級と取得したことで有利に進んだとの話をよく聞きます)
そんな準1級ですが、どの程度の語彙力と文法力が要求されるのか、今回はじっくりと見ていきたいと思います。
まず、準1級にぎりぎり合格できる高3の英語力は、河合の記述模試で偏差値65から70ほどの実力です。
早稲田や慶應の文系学部はこのラインから戦えるといえます。
英検準1級の一次の配点ですが、
リーディング、リスニング、ライティングとどのパートも750点満点で、3分の1ずつを占めています。つまりトータルでは2250点満点。
素点にすると、リーディングが31点、リスニングが29点、ライティングが32点。
最初の語彙の4択問題は18問。1問1点なので、リーディングの半分強が語彙を占めていて、やはり重要なパートです。語彙力は読解における理解の深さにも直結します。
速読英単語でいえば、上級編、すなわち早慶の過去問に出てくる語彙を知っていればなんとかなります。他にはリンガメタリカで時事問題にも精通している方が望ましいといえます。また、よく受験生の間で人気のDUO3.0だけでは力不足になるので、準1級用のパス単などを使っていく必要があります。
そして見落としがちなのですが、文法力も求められています。ライティングが32点で全体の3分の1を占めているからです。
2024年の第一回からは英文を要約する問題も出されるようになったので、しっかりと無生物主語、分詞構文などは使えるようにしたいところです。要約は60~70語で、決して長くはありませんが、時制、関係詞、接続詞などの基本的な使い方は内容や構成にも大きく影響が出るので、高校でやる基礎は押さえておきたいところです。(1級のように連鎖関係詞や二重限定の違いについての知識などは不要です。準1級では間違えてもそれほどの痛手にはなりません)
そして自由英作は120~150語で書くものですが、1級とは違ってトピックに対して与えられたPOINTから二つほどネタを取って展開する形になります。ヒントが与えられている分、話を広げやすくなりますが、ここでも高校で習う基本的な文法力はしっかりと身に付けておきたいところです。
英作の精度を高めるには、実際に手を使って何枚も書いてみることです。
三段構成にし、イントロ、ボディ、コンクルージョンと首尾一貫した内容が書かれているかが評価対象になります。
その際、ディスコースマーカーと呼ばれるFirst, Second, However, On the other hand, While, Nevertheless, In conclusion,などでどのように英文が展開されていくのか、ロジックを明確にして書くことが大切です。
時制はあっているか、関係詞で修飾されている内容は正しいか、I thinkを連発させずに無生物主語でうまく変化をつけているか、内容はトピックにあってるか、トータルでの精度が合否に大きく影響します。
やはり2024年からライティングの比重が高くなったことから、文法は軽視できない試験になったといえます。個人的な推測ですが、大学入試(特に私立)では英作文を大勢の人に課すことが難しいので、英作は英検の方で評価し、準1級以上を持っている人は書く力があると評価できるので、大学入試で重要視されるようになってきたのではないかと思います。
文法力は入試の4択問題を解けるようになるだけでなく、実際に英作に使えるレベルまで高めるのが重要だと言えます。