早慶の附属高校(早稲田実業、早大学院、早大本庄、慶應義塾、慶應志木、慶應女子)と都立の日比谷・西ならどっちに進学すべきか。
ツイッターでこのようなアンケートを取った結果は、ほぼ五分五分だった。
高校受験の話ではあるが、今回は大学受験を見据えた話をしてみたい。
一般的に早稲田・慶應は大学からよりも高校から、高校からよりも中学から入るほうが難しいとされる。
では、「高校受験で早慶に合格したなら、進学せずに都立に入って東大を目指し、早慶は滑り止めでまた受けよう」というノリでうまくいくのだろうか。
今回はどんなタイプが早慶の附属高に進学すべきか、都立高校(日比谷・西以外にも戸山や国立なども含め)に進学すべきか、考えてみたい。
まず、高校受験で早実、早大本庄、早大学院、慶應義塾、慶應志木、慶應女子に入ろうとすると、駿台模試の3教科でおよそ偏差値64から67くらい必要である。
かなり高い数値だが、一科目(英語か数学)で偏差値60以上出したことがあるなら挑戦すべきだという声もある。男子なら早慶附属高は最大で4つほど受験でき、女子なら2つ受けられる。
内申は関係ないが、二次面接のある学校があり、一次の筆記と二次面接での印象で並んだら、学校の内申が使われる(特に理社)のではないかという噂もある。だが真偽のほどは不明。
都立の日比谷と西は駿台模試でいえば5教科で61から64ほどである。英数国は自校作成とはいえ、この三科目は早慶の方が難しい。都立は理社の勉強に加えて、内申で実技のほうも真面目にやっていないといけない。だいたい4と5が半々であれば大丈夫だと言われる。
実際のところ、早慶の附属に合格しても選ばずに都立の日比谷・西に進学する生徒は結構いるが、はたしてそれが正解か?となると生徒のタイプによって変わってくる。
たとえば慶應志木に受かったが蹴って西に入り、大学受験で慶應義塾大学を受けたら落ちたという話がある。それでも東大か一橋あたりに合格できていればいいのだが、早慶よりランクが下がると早慶の附属に行っていればよかったということになる。
どんなことに気をつければいいのか以下にまとめてみたい。
まず、理系に進学すると決めているが、数学の成績が微妙な人は早慶の附属にした方がいい。大学受験では早慶の理工は一回しか受けられない。理工の数学は難しく、この一発勝負で落としてしまうケースがある。それなら高校から入っておいた方が安全なのだ。
次に文系で英語が非常に得意なタイプなら、都立高校に進学しても大丈夫といえる。文系なら英語の成績でかなりのところが決まるし、早慶文系学部は複数受験できるので一発勝負になりにくい。ミスが許されるのは心理的に大きい。
もし文系で英語が苦手なタイプなら、早慶の附属にしておいた方がいい。大学受験の早慶は、高校受験の早慶とは別の難しさがある。どの学部も英語が得意でないとその時点で道が閉ざされてしまう。(慶應SFCを数学か情報で受けるなどは別)そして、大事な点として、早慶は大学から入るのでもそれなりに難しい。
おそらく世間では、
早慶は中学から入る難易度を10とすると、高校からが8、大学からは6くらいに考えてる感じがするが、教えてる身としては全くそのようではない。
中学からを10とすると、高校からも10か9、大学も10か9である(推薦、AOは別。学部による難易差ももちろんある)。
ところで、高校生活ではどうだろうか。
私立と都立の違いだが、まず私立は学校のカラーがはっきりとその生徒につく。高校から慶應の人と大学から慶應の人ではあきらかに雰囲気が違う。
他の私立に目を向けてみても、麻布と巣鴨では私服の状態でもどちらが麻布でどちらが巣鴨かすぐに見分けがつく。女子高では桜蔭、女子学院、雙葉と教えたことがあるが、生徒の雰囲気は全く違う。空き缶が道端に落ちていると、女子学院だと空き缶を蹴って遊びはじめ、雙葉だと拾ってゴミ箱に入れ、桜蔭だと勉強に集中しててそもそも空き缶の存在に気づかないというのは、各学校のカラーを非常に的確に表している。その一方で、雰囲気的に似てる学校も中にはあり、駒場東邦と桐朋だと見分けがつきにくい。
これが、都立高校になると、一つの教室に日比谷、西、戸山、国立の生徒を40人集めても誰がどこの学校だか全く見分けがつかない。つまり、都立高校はいい意味で「普通の人」ができあがる。特定の学校の匂いがつかないのだ。私立は学校のカラーがはっきりとつく。そのあたりは面白いところかもしれない。
また、都立高校は非常に自由である。勉強をさぼっても教師からはほとんど何も言われない。が、裏返すとこれは取返しがつかないレベルまで落ちる可能性があるので、英数など、手を抜いてはならない教科はしっかり自分でやらなければならない(特に英語をさぼるとえらいことになる)。また、塾にも通って合格体験談をもらったり、周りがどんな教材を使っているかなど、情報を常に入手するような努力も必要である。
そして最後に学費の問題である。
都立高校だと一か月で1万円ちょっとだが、早慶の附属だと大学の学費より高いケースがほとんどである。学費に関しては都立の方が財布に圧倒的にやさしい。
ざっと見てきた感じで、生徒がどのタイプかによって解が変わる。10代の頃に過ごした環境は生徒の人格形成に大きく影響を与えるので、偏差値だけでなく細かい中身もしっかり見て決めるべきである。