国連英検特A級は非常に面白い試験です。英検1級では純粋に英語力だけが求められますが、国連英検では最初に国連の知識問題が10点分試されます。そして、20点分の英作文でも国連に関するものか、あるいは国際情勢に関するものが問われます。
最初の10点分の知識問題は指定テキストを読み込んだり、過去問を解くことでなんとか対処可能です。
問題になってくるのが、一次の筆記で問われる語彙レベルの高さと、自由英作で求められる国際情勢の抽象的なトピックをどう書くか、そして2次面接の難しさにあります。
今回はどうやって一次の筆記試験を突破すればいいか見ていくことにしましょう。
国連英検特A級は自分が受けたときは語彙レベルが異常に高く(GREと同等かそれ以上)、正誤問題は鬼のような難度でした(早稲田のNO ERROR問題よりはるかに難しかったです)。
その一方で、取りやすい設問も一部にはあり、手際よく取れるところで点数をかき集めなければならない試験です。自分が受けた頃は、一次のボーダーは50点台後半。まさに1点の重みを感じる試験でした。最近では語彙レベルが少し緩和され、ボーダーは70点前後のようです。取りやすかったパートは、国連の知識問題、語彙の言い換え、時制を問う問題です。反対に正誤問題は非常に難度が高かったです。他に受験した人たちの感想をブログで読んだのですが、正誤問題はさっぱりだったという声が多くありました。
ところで、語彙問題は英検1級とはだいぶ違います。1級だと文脈から明らかにわかるものが出されます。
たとえば1級では、
avaricious, audacious, auspicious, のように語尾を統一しただけのものがでる一方、
特A級だと、文中のvery carefullyの言い換えとして、
cautiously, gingerly, warily, prudentlyの中から選ばせるような感じです。
皆同じ顔をして出てくるので英検1級より難しく感じます。対処法としては、単語帳だけでなく、英字新聞や洋雑誌をよく読み、どういう文脈で使われる単語なのか、単語の性格をよくつかんでおくことです。
ただ、実際問題として英字新聞だけで特A級を突破する語彙力をつけるのは時間がかかりますので、単語帳の力を借りる必要があります。今回は自分が使ったものを紹介してみます。
まずは、語研から出ている最強のボキャブラリー1700語です。こちらはBasic Word Listの邦訳版で、非常に使いやすいです。
Basic Word Listとはアメリカの高校生がSATのために覚える単語帳で、アメリカ版のでる単、アメリカ版のシス単といったところです。
特A級での的中率は高く、パス単1級よりも難度は高いです。これを全部覚えれば、辞書を引きながら洋雑誌を読む世界からは卒業できます。
実際に自分もEconomistを読んでて知らない単語はほとんど出てこなくなりました。
次に三修社が出している超ハイレベル英単語800です。こちらはさらに難度が高く、洋雑誌や英字新聞でもあまり見かけないものが出てきます。
特A級でかつて出されたkvetch(いつも文句を言う)という単語もこちらに収録されています。自分はこの単語はNew York Timesで数回しか見かけたことがありません。
非常にハイレベルで、どちらかというと少し珍しい単語が載っている感じです。
結局のところ自分が使った本は、最強のボキャブラリー1700語、超ハイレベル英単語800、そしてパス単1級の復習、1100 Words You Need to Know、国連の指定テキスト、特A級の過去問、EconomistやForeign Affairsといったところです。
国連英検のHPでも合格者の声に出てくる人たちの教材を見てみますと、皆だいたい10冊くらいです。参考書を100冊以上買い込みましたという話は皆無です。
これがツイッターを見てますと、特A級受験者ではなく、大学受験生やTOEIC800あたりを目指す人たちで、英語の参考書を100冊くらい買いこんでる人をよく見かけます。これは実力をつけるにはあまりいいやり方ではありません。広く薄くやると忘れてしまうのです。(100冊購入したけど結果的に10冊に絞ったなら大丈夫です)
実力をつけるには、同じ教材を何度も反復すること(数回ではなく数十回)。自分の場合は、上に挙げた本をしつこく何度も繰り返したことが結果的によかったと感じます。
国連英検特A級は取得したからといって、大学受験や就職で有利になるものではないかもしれませんが、非常にレベルの高い試験も突破できるのだというシグナリングにはなりますので、挑戦してみる価値はあります。何より、英文が読んでて非常に面白いです。