問題です。
公立中学で英数国理社の成績が、
A君:4,4,4,4,4
B君:5,3,3,3,3
の二人の生徒がいるとすると(しかも相対評価でレベルの高い学校とする)、大学受験で早慶に合格する可能性があるのはどちらでしょう。
実はB君の方が合格する可能性があります。
英語が5だからです。3を4にするのは簡単ですが、4を5にするのは大変です。学校ではトータルの成績がいいA君の方が褒められるかもしれませんが、オール4だと失敗しやすいのが大学受験です。
今回は石原慎太郎の教育論から引用して得意なものを持つことの大切さを紹介したいと思います。
石原慎太郎の「父」なくして国立たずという本には、競争に関してとても大切な話が出てきます。
以下に引用してみましょう。
「学校の先生の大方は、何でもかんでも最高点の5を取れと指導するが、そんなことでは役人の養成にしかなりはしない。私は四番目の子どもが慶応の普通部から高校に進む時に、生徒と先生たちの前で先生方への謝辞と、子どもたちへのはなむけに何か述べてくれと頼まれて言いました。」
「私はたぶん先生たちとは違うことを言うと思う。君らは高校にいくと外部から受験戦争で入ってきた連中にはテストでは総合的には負けるかもしれないが、そんなことは別に何も気にする必要はない。なんでも5を取るなんてことは全く必要ない。もし、不得手な、あるいは嫌いな学科があったなら、カンニングはいけないが、まあ落第しない程度にやりなさい。その代わり、好きな学科を一生懸命やることだ。それがこれからの高校と大学を通じて君たちが、彼らにも勝ち、仲間の中でも大負けしない秘訣だ。それが個性の発揚につながるのだから。嫌いな学科は適当に、好きなものは一生懸命やれ、と。先生たちは苦笑いをしていましたが。しかしそうしたことは父親、父性の権限でしか言えないことではあります。どんなことでも勝ち負けはあるし、すべてのことに勝つなどということはあり得ない。それを知らせる、教えるのが真の教育でしょうに。」
この、「好きな教科を一生懸命やり、得意にする」のは非常に大切です。
高校に入ると構内の実力テストがありますが、たいてい難しく作られており、英数国のそれぞれの平均点は40点くらいです。しかし、1科目70点以上取れるものがあると、他の教科も引っ張ってくれて、300人いる学校なら三科で学年100番以内に入れるようになります。
大学受験においては、英語か数学が非常に得意だと、失敗しにくくなります。一流と言われるどこかしらの学校におさまるものです。
そして附属にいる高校生が、大学に入ってから外部受験してきた人たちに負けないようにするためにも、やはり1つ得意なものを作ることが大事です。
5段階でいくと、数学、国語、理科、社会はどれも3だけど、「英語は5の壁を突き抜けて6にも7にもなる力を持っている」、つまり英語だけは英検1級でTOEIC950点以上を持っている、そういうスタイルの方が仲間の中で大負けしないものです。大負けするパターンは、得意なものを持たないケースです。
大学受験でも早慶の文系にいくなら、英語を徹底的に鍛え、理系なら数学を鍛えるなど、尖ったものを持つことが失敗を回避する秘訣になります。そして得意教科だけは早い段階から動いて準備する必要があります。
どこか「弱者の戦略」みたいなところはありますが、社会にでるとすべての分野で勝つということは不可能です。それぞれの分野にその道のプロがいるからです。小中学校ではすべて勝つことができても、上に行けば行くほど何かに特化する必要が出てきます。
大学受験は得意教科を作ること、そして大学に入ってからは何らかの特徴を備えた人間になること(これは英数国でなくても、ラーメンの食べ歩きに異常に詳しいとかなんでもOK)を意識してみるのが大切です。