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英語と万年筆 道具にはお金をかけよう

まずは上のグラフをご覧ください。

トンボ鉛筆が発表したデータによると、最近ではえんぴつのHBよりも2Bのほうが売れ行きがいいのです。これは子どもたちの筆圧が弱くなっていることを意味しています。

 

面白いことに、このグラフは新しいデジタル機器の出現とタイミングが重なっています。

 

2Bの売り上げが伸び始めた2004年といえば、ちょうどノートパソコンにメモリ512MBが標準搭載され、WindowsXPが快適に動くようになった年です。

 

しばらく横ばいが続きますが、iPhone5(つまり快適な4G回線)が出た2012年頃から、2BがHBを大きく引き離しています。スマホの時代に本格的に移行した頃です。

さらによくよく見ると、2014年からさらに2Bの売れ行きの傾きが上がっていますが、iPhone6Plus(大画面)が登場してスマホの使い勝手がさらに良くなった頃です。

 

まさにデジタル機器と筆圧、つまり手を使って書く習慣は反比例しているといえます。字を書かなくなると筆圧が弱くなるのです。

では、筆圧が弱くなっている人たちが字を書く習慣を持つにはどうしたらいいか。

 

答えは、万年筆にあります。

 

万年筆とフェルトペンはペン先が紙に触れていればインクが出るので、無理に筆圧をかけて指を傷めることがないのです。

 

自分自身は仕事柄、生徒の答案の添削、黒板の前でボードマーカーを握る、英作文の練習、英語学習、プリントを作るときの下書きなど、様々な場面でペンを握ることから、万年筆で爪が割れないように指を守ることはかなり重要です。

ちなみに、自分のお気に入りの万年筆は、ペリカンです。

 

少し高いですが、インクフローがよく、ペン芯の櫛の部分にインクを多く含ませることができるため、つけペン式で書くこともでき、快適な筆記が得られます。

 

そして面白いことに、万年筆を使うと、ボールペンのときと比べて、書く内容まで変わってくるのです。指も守ってくれることから、最高の実用品といえます。


ここで万年筆に関する池波正太郎の「男の品格」から一節を紹介したいと思います。

いい道具にお金をかけることの大切さが伝わってきます。

 

「引用開始」

 

「万年筆とかボールペンとかサインペン、そういうものは若い人でも高級なものを持った方が、そりゃあ立派に見えるね。万年筆だけは、いくら高級なものを持っていてもいい

 

「つまり、いかに服装は質素にしていても万年筆だけは、たとえばモンブランのいいものを持っているということはね。アクセサリー的な万年筆が増えたけど、そういうのはだめ。そうじゃなくて、本当の万年筆として立派な機能をもった万年筆はやっぱり高いわけだから、そういうものを持っているということは若い人でもかえって立派に見える」

 

「職業とは無関係。だから、トンネルの工事をしている人が、そこでモンブランのいい万年筆を出して書いても、それはもう、むしろ立派に見えるわけですよ。そりゃあ万年筆というのは、男が外へ出て持っている場合は、それは男の武器だからねえ。刀のようなものだからねえ、ことにビジネスマンだったとしたらね。だから、それに金をはり込むということは一番立派なことだよね。貧乏侍でいても腰の大小はできるだけいいものを差しているということと同じですよ」

 

「気持ちとしてもキリッとするわけだよ、自分でも。高い時計をしてるより、高い万年筆を持っている方が、そりゃキリッとしますよ。万年筆とそれから手帳なんかもそうだね。アクセサリー的なものはダメですよ。あくまでも実際的な手帳であって、たとえば外国製の本当の革表紙の手帳で、内容がいくらでも替えられるというのがあるでしょう。買うときは高いけれども、それを買って2,3年ぐらいして革表紙が黒ずんでいるようなものを使っているというのは、それはいいものだよ。男っていうのは、そういうところにかけなきゃだめなんだ、金がなくっても」

 

「いかにも人の目につきやすい時計とかネクタイとかライターなんかじゃなくて、実際に仕事で使うもの、本当に武器になるようなものに凝らないとダメなんですね。うん。だからぼくなんかの場合でも、万年筆は何本あるか知らないけど、おそらく5,60本持ってるだろう。これはやっぱりそのくらいないとね。順番に使いまわしていくわけだから。何も作家だから30本も50本も持ってるというわけじゃなくて、そういうようにしていかないとやっぱりねえ。ギシギシ音がするようなペンだっだら、肩の凝りが違うんですよ。健康にも影響してくるからね

 

「引用終了」

 

立派に見えるかどうかは、個人的にあまり関係ない気がするんですが、ボールペンやゲルインキペンで書いてるときよりも、指を守ることができ、快適にぬらぬらと書ける万年筆はやはり最高です。

 

「英作の練習をしよう、ちょっとEconomistの記事を書き写してみよう」という気になります。

 

そして「アクセサリー的なものはダメですよ、実際的なものじゃないと」という箇所は非常に重要です。ペリカンは実用品として優れているのですが、中には装飾品になってしまったのではないかと感じるメーカーもあります(メーカー名はここでは伏せます)。

 

売られているものが装飾品なのか、実用品なのかは、身銭を切ることで眼力が磨かれていきます。もちろんネットなどで下調べしたり、詳しい人に聞いてみることも大事です。

 

いいものにお金をかけると学習も仕事も捗ります。

 

普段、HBのシャープペンで英作を書き写してるなら、芯を2Bに変えてみたり、万年筆を使ってみると世界観が変わるかもしれません。

 

学習道具、仕事道具はケチってはいけない。

万年筆に限らず、パソコンもタブレットも。

10年もすると安物を使ってたときと比べて絶大な差がでるから。

 

 

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